技術レポート

ATENA 22-ME01(Rev.1)電磁両立性(EMC)に係る原子力発電所における今後の対応方針

2025年3月31日

ポジションペーパー

 2023年331日に発行したポジションペーパー「ATENA 22ME01Rev.0)電磁両立性(EMC)に係る原子力発電所における今後の対応方針」について、周辺ノイズ環境測定結果の追加及びその結果を踏まえた今後の活動計画の見直しの反映を行い、改定版(Rev.1)として発行しました。

 内容等について、ご意見等がある場合は、こちらからお願いいたします。

【改定内容】

1.周辺ノイズ環境測定結果の追加

 ・20232024年度に実施した安全保護系デジタル機器の設置場所周辺のノイズ環境測定結果を追加

2.活動計画の見直し

 ・供試体を使用したイミュニティ試験の機会を活用し、エミッション試験も併せて実施することで、機器単体レベルでの放射ノイズを把握することとする。

【概要(2023331日に掲載した内容、再掲)】

 EMCとはElectroMagnetic Compatibility の略であり、日本語では電磁両立性と呼ばれている。その定義はJISにおいて「装置又はシステムの存在する環境において、許容できないような電磁妨害をいかなるものに対しても与えず、かつ、その電磁的事象に対して満足に機能するための装置又はシステムの能力」とされている。もともとは一般の無線通信の障害が発端となって各種EMC規制・規格が制定されてきたが、世の中でデジタル技術を用いた機器が普及してくると、受信機への障害だけでなくデジタル機器自身への影響についての議論も開始された。

 国内原子力発電所では、従来から設計・運用にて電磁的事象への対策を講じており、様々な原因により発生する電磁的事象がプラントの安全性の低下につながることがないよう配慮してきたが、海外の原子力発電所の規制・規格動向としては、2000年代に入り、電磁両立性(EMC)に係る一般産業向け標準規格を参照したRG1.180IEC 62003等のガイド、規制、規格が整備されてきている。

 ATENAとしてはこれらの状況を鑑み、一般産業向け標準規格の原子力発電所への適用性をまとめた国際規格であるIEC 62003(2020)1を比較対象に、現状の国内での試験方法や試験レベルを調査し、国内原子力発電所での電磁的事象への対応について、産業界の見解と今後の対応方針をまとめた。

1IEC 62003 Edition 2.0 2020-03  Nuclear power plants - Instrumentation, control and electrical power systems - Requirements for electromagnetic compatibility testing

ページトップ