2020年12月24日に発行した技術レポート「ATENA 20-ME05(Rev.0)原子力発電所におけるデジタル安全保護回路のソフトウェア共通要因故障緩和対策に関する技術要件書」について、事業者の対策進捗に伴う解説追加及び表現適正化、国内基準及び規格動向の反映並びに海外規制動向の反映を行い、改定版(Rev.1)として発行しました。
内容等について、ご意見等がある場合は、こちらからお願いいたします。
【改定内容】
1.事業者の対策進捗に伴う解説追加、表現適正化
・ 自動作動する常用系設備の取り扱い明確化
・ 表現の統一、用語の定義の見直し、分かりづらい表現の見直し
2.国内基準及び規格動向の反映
・ 参考文献の最新版への更新及び新規追加
3.海外規制動向の反映
・NUREG-0800 Standard Review Plan BTP7-19 (Revision8)を参考に要件を追加
【概要(2020年12月24日に掲載した内容、再掲)】
国内の原子力発電所においては、設備の信頼性および保守性の向上を目的として、1980年代頃から常用系設備にデジタル計算機を適用してきており、その良好な運転実績を踏まえ、1990年代頃からは安全保護回路にもデジタル計算機を適用する事例が増えています。
デジタル計算機では、設計上の要求機能がソフトウェアによって実現されることから、安全保護回路に適用するソフトウェアの信頼性を確保する取り組みとして、ソフトウェアライフサイクルおよび構成管理手法を含めた品質保証活動・検証および妥当性確認を実施しています。
これらの活動により、ソフトウェアに起因する共通要因故障(以下、「ソフトウェアCCF」という。CCF;Common Cause Failure)が発生し、多重化されたデジタル安全保護回路の機能が喪失する可能性は十分低く抑えられています。しかしながら、デジタル安全保護回路を設置した原子力事業者(以下、「事業者」という。)は、深層防護の観点で、より一層の信頼性向上を図るため、デジタル安全保護回路のソフトウェアを介さずに原子炉停止系統や工学的安全施設を作動できる多様化設備を自主的に設置してきました。
ATENAは、炉心の著しい損傷防止を重視し、運転時の異常な過渡変化または設計基準事故とソフトウェアCCFが重畳する可能性は極めて低いものの、ソフトウェアCCF影響緩和対策としてさらなる対策を自主的、かつ計画的に行うことをATENAステアリング会議(2020年1月開催)で決定しました。
本技術要件書は、事業者が自主的にデジタル安全保護回路のソフトウェアCCF影響緩和対策を行うにあたり、対策設備である多様化設備への要求事項、およびその有効性評価手法を技術要件として示すことを意図して整備したものです。
今後、事業者が本技術要件書を活用していく中で、本技術要件書へ反映すべき事項が確認された場合は、適宜改定する等、継続的な改善を実施していきます。
2020年12月24日に発行した技術レポート「ATENA 20-ME05(Rev.0)原子力発電所におけるデジタル安全保護回路のソフトウェア共通要因故障緩和対策に関する技術要件書」については、こちら。