お知らせ

ATENAフォーラム2024の開催結果

2024年3月27日

イベント

 ATENAは、今回で6回目となる『ATENAフォーラム2024』を会場での参加とオンライン参加のハイブリッド方式で2024年2月15日(木)に開催しました。

 当日は、ATENA会員である原子力事業者、メーカ、原子力関係団体の方々に加え、原子力規制委員会や経済産業省などの関係行政機関、原子力立地自治体、報道機関各社、一般公募などの方々に、会場またはオンラインで約500名のご参加をいただきました。

 ATENAとして、広く皆さまにフォーラムの様子をご覧いただけるよう、本ウェブサイトに動画と発表資料を掲載いたしました。

■日時: 2024年2月15日(木) 16:00 ~ 17:45

■開催形式: 会場およびZOOM Webinar を利用したハイブリッド開催

■プログラム

(画像をクリックすると拡大します)

1.開会挨拶(魚住 弘人 ATENA理事長)

『ATENAフォーラム2024』の開会にあたり、魚住理事長より挨拶をいたしました。

(5分53秒)

2.来賓挨拶(杉山 智之 原子力規制委員会 委員)

 杉山委員より、安全確保に対する取り組みについて、「事業者側と規制側がそれぞれ独立に推進するものであり、双方の立場を踏まえた上で必要な緊張感を維持し、協力的な関係を築くことが必要。特に透明性を確保しつつ協力を進め、それぞれの立場から説明責任を果たす必要がある。」とのコメントがありました。また、ATENAに対しては、「原子力規制委員会のカウンターパートとなり、電力各社を束ねる役割」を期待しているとし、「デジタル安全保護回路のソフトウェア共通要因故障への対応を通じてATENA主導による規制課題対応について一定の有効性を確認できた」と述べられました。

(9分16秒)

3.基調講演(ジェニファー・ユール  米国NEI 副会長)

 ジェニファー・ユール副会長より、米国におけるリスク情報活用による安全性向上について基調講演いただき、「決定論的なアプローチという基盤に加えて、確率論的なリスク評価を行うことによって、別の角度から安全を評価することができ、安全性が向上する」こと、また「PRAを使うことの難しさは、まず、データが必要であり、事業者間、規制との間での情報共有が必要で、規制側はその結果を踏まえて産業界に対して見解を示すということも必要」といった重要な指摘をいただきました。

(12分05秒)

4.パネルディスカッション

テーマ:
リスク情報の活用による原子力の安全性向上
モデレータ:
山口 彰   原子力安全研究協会 理事
パネリスト:
ジョージ・アポストラキス  電力中央研究所原子力リスク研究センター 所長
黒川 陽一郎 原子力規制庁  原子力規制企画課長
伊原 一郎  中部電力株式会社 代表取締役
ジェニファー・ユール  米国原子力エネルギー協会(NEI)副会長
佐藤 拓   ATENA 理事

 山口彰氏による進行のもと、国内におけるリスク情報の活用をより一層進めるべく、以下の論点について、ディスカッションが行われました。

  1. 米国におけるリスク情報活用の歩み、成功要因
  2. 国内の規制当局、産業界それぞれにおけるリスク情報活用の現状、目指す姿とのギャップ解消のために必要なこと
  3. 更に幅広い観点から、考慮が必要なリスク要因は何か

 パネリストの皆さまから、ATENAおよび規制当局への期待を含めて、以下のように多くの示唆や助言をいただきました。

(1時間8分30秒)

 『リスク情報の活用については電力中央研究所原子力リスク研究センター(NRRC)で研究が進められており、産業界としての方向性を取りまとめている。我々自身がATENAのメンバーとして、課題を先取りして自主的に安全性を上げていくという想いを持った集団になっていかなければならない』(伊原一郎氏)

 『信頼性は重要なポイント。専門家レビュー、ピアレビューにより、PRAモデルの信頼性を評価することが重要。規制においては、炉心損傷頻度(CDF)、格納容器機能喪失頻度(CFF)について正式な形でパフォーマンス指標を提示してもらえるとよい。』(ジョージ・アポストラキス氏)

 『リスク情報を活用するということは、決定論的な要求事項を撤回するとか減らすということではなく、プラスアルファの手段として安全重要度を見る視点となる、つまり情報量が増えて、価値が付加される。産業界は原子力規制庁(NRA)と協力、連携し、相互に情報提供しあって研究・検討を行うことができると思う。』(ジェニファー・ユール氏)

 『規制プロセスのどこでリスク情報を使えばよいかについて、NRA内部でまだ十分議論出来ていない。また、PRAモデルやデータがどこまで信頼できるのかに疑念を持っている。事業者と規制当局が疑心暗鬼になっている状態は問題であり、フランクに言い合える関係を作ることが非常に重要。それにより、問題が解決していくと思う。』(黒川陽一郎氏)

 『事業者との間に信頼関係がないと言われるのは不本意に思う。事故が起きた時に我々は決して発電所から逃げることはできず、自分たちが住んでいて日頃からお世話になっている地域で事故を起こしてはいけないと心から思っている。こういった思いを理解していただくことが信頼の礎だと思っている。産業界ではこれまでもリスク情報を活用してきているが、規制との関わり合いという点においては不足している点があったと考えており、しっかり説明していく必要があると認識している。』(佐藤拓氏)

 最後に、山口彰氏より、本日のパネルディスカッションにおける議論を振り返り、『規制当局、事業者およびATENAでの信頼関係の構築やリスク情報活用の方向性が見えてきたと思う。リスク活用がなかなか進まないのは何故だ、という問いかけばかりでなく、実績を積み上げていくということを期待する。』との言葉をいただき、パネルディスカッションは締めくくられました。

5.閉会挨拶(富岡 義博 ATENA理事)

『ATENAフォーラム2024』閉会にあたり、富岡理事より挨拶をいたしました。

(5分53秒)

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