お知らせ

ATENAテーマ「安全な長期運転に向けた経年劣化管理の取組」に関する規制当局との意見交換(「経年劣化管理に係るATENAとの実務レベルの技術的意見交換会」)の結果について

2020年7月31日

お知らせ

 ATENAは、「安全な長期運転に向けた経年劣化管理の取組」を主要テーマに掲げ、原子力産業界における取り組みの充実を図っています。

 本テーマに関して、原子力規制委員会に対して技術的意見交換を行うことを第10回主要原子力施設設置者の原子力部門の責任者との意見交換会(以下、「CNO意見交換会」という。)(2019年12月2日開催)において要請(資料参照)し、原子力規制委員会の了承を得て2020年3月以降、計6回にわたり原子力規制庁と「経年劣化管理に係るATENAとの実務レベルの技術的意見交換会」(以下、「技術的意見交換会」という。)を行ってきました。(2020年3月6日、4月27日、5月22日、6月1日、6月15日、7月1日開催)

 意見交換の内容としては、ATENAが取り組むこととした3項目

 ①プラント長期停止期間中における保全

 ②設計の経年化管理(注1)

 ③製造中止品の管理

これらに加えて、原子力規制委員会の技術報告に対する原子力事業者の取り組み2項目

 ①重大事故環境下におけるケーブル絶縁特性に関すること

 ②中性子照射がコンクリートの強度に及ぼす影響に関すること

について、意見交換を行いました。

(注1)設計の経年化管理:設計の経年化とは、時間の経過にしたがってプラントの設計に関する知見が蓄積されることにより、プラントの設計そのものが変遷し、新設計との差異が生じることをいい、設計の経年化管理とは、設計の経年化を評価した結果から、必要に応じて安全性向上に係わる対策を実施していくことをいう。

 このたび、一連の意見交換が一区切りし、意見交換の結果、および今後の対応についてATENAとして「「経年劣化管理に係るATENAとの実務レベルの技術的意見交換会」に関する取りまとめ文書」に取りまとめましたので、お知らせいたします。(取りまとめ文書参照

 なお、同文書は、原子力規制庁側参加メンバーとの間でも認識を共有したものとなります。

 技術的意見交換会において、多くの時間を割いて技術的な議論を行った「取替困難機器の長期停止期間中の経年劣化」については、原子力規制庁側参加メンバーからの文書「発電用原子炉施設の取替困難な機器、構築物の長期停止期間中の経年劣化に対する理解の概要(2020年7月8日)」が示され、同文書の中で双方に認識のギャップがないことが示されました。

 また、これら長期停止期間中の経年劣化に対する理解の概要を含め、技術的意見交換会の結果については、2020年度第17回原子力規制委員会(2020年7月22日開催)において原子力規制庁から報告され、原子力規制委員会として了承され、2020年度第18回原子力規制委員会(2020年7月29日開催)では、原子力規制委員会の見解がまとめられました。

 ATENAは、今回の技術的意見交換会を通じて、規制当局から示された意見および期待を踏まえ、原子力産業界をリードする組織として原子力事業者およびメーカーの安全性向上活動を牽引し、また、今後の取り組みを通して成果を示すことでこれらの期待に応えていきます。

【本テーマ選定の経緯】

 原子力事業者は、原子力発電プラントの機器や構築物において起こりうる腐食、疲労などの経年劣化事象を的確に管理し、機器や構築物の安全機能が確実に維持されるよう、メーカー、研究機関などとも連携し、国内外の最新知見を反映した保全活動を行ってきています。また、プラントの新旧にかかわらず、新規制基準への適合やバックフィット(注2)への対応によって必要な安全性を確保するとともに、そのような規制の枠にとどまることなく、さらに自主的な安全性向上の取り組みを進めています。

 原子力発電プラントが今後の長期運転を安全に進めていくため、さらには、プラントの停止期間が大幅に長期化している状況にも的確に対応していくために、経年劣化への対応はますます重要性が増してきていることから、「安全な長期運転に向けた経年劣化管理の取組」を主要テーマに取り上げることとしました。

(注2)バックフィット:「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」による原子炉等の規制において、既設の施設などに対して、最新の技術・知見を取り入れた新たな規制基準への適合を求めることをいう。

【ATENAの取り組みの概要】

 ATENAは、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)が策定したガイドも参照し、「物理的な経年劣化(注3)」と「非物理的な経年劣化(注4)」の両面から、各原子力事業者が実施している経年劣化管理の全体像を改めてレビューし、充実を図るべき事項がないかの検討を行いました。

(注3)物理的な経年劣化:腐食、疲労などにより、設備自体が時間の経過とともに物理的に劣化すること

(注4)非物理的な経年劣化:暦年の経過とともに、プラントが最新の技術、知見、および設計に比べて時代遅れになること

 その結果、各原子力事業者において取り組みの充実を図る必要がある事項として、以下の3項目を抽出し、具体的な取り組み内容をガイドラインにまとめて各原子力事業者に取り組み強化を求めていくこととしました。

 ①プラント長期停止期間中における保全

 ②設計の経年化管理

 ③製造中止品の管理

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