お知らせ

ATENAフォーラム2020を開催

2020年3月12日

ATENAは、2020年2月13日(木)、イイノホール(千代田区内幸町)において、「ATENAフォーラム2020」を開催しました。昨年2月に第1回のフォーラムを開催し、今回は第2回目の開催となります。
当日は、ATENA会員である原子力事業者、メーカ、原子力関係団体の方々に加え、国会議員、原子力規制委員会や経済産業省などの関係行政機関、原子力立地自治体、報道機関各社からのご参加を得るとともに、一般公募で申し込まれた方を含め約350名の方にお越しいただきました。
ATENAとして、広く皆さまにフォーラムの様子をご覧いただけるよう、本ウェブサイトに動画と発表資料を掲載いたしました。

■日時   
2020年2月13日(木) 16:10 ~ 18:05

■場所   
イイノホール(東京都千代田区内幸町2-1-1)

■プログラム

1.開催挨拶(門上 英 ATENA理事長)

「ATENAフォーラム2020」の開催にあたり、門上理事長より挨拶をいたしました。

(4分56秒)

2.来賓挨拶(更田 豊志 原子力規制委員会 委員長)

更田委員長より、原子力規制委員会がATENAの誕生を歓迎しており、ATENAには大いに期待しているとのメッセージをいただきました。また、具体的に4つの期待事項について言及がありました。
①ATENAから原子力規制委員会に対して、異論、反論、独自の意見が表明されることを期待
②リスク情報活用に係る分野のガイドを整備するなど、大きな役割を期待
③緊急時活動レベル(EAL)は事業者による設定が望ましく、業界標準となるガイドの整備などを期待
④安全性向上評価制度の定着と改善に向けて原子力産業界をリードしてもらうことを期待
締めくくりのメッセージとして、ATENAが様々な課題について、正しい優先順位、対処策などを与える技術的な提案、提言を行うことで実績を積み、事業者から、規制当局から、そして社会から高い評価と信用を得る組織となることは、原子力規制委員会の使命、すなわち厳正かつ適正な規制を通じて放射線の有害な影響から人と環境等を守るという使命を果たすうえでも、とても有益なことだとのメッセージをいただきました。

(12分33秒)

3.ATENA活動報告(門上 英 ATENA理事長)

ATENAの2019年度の活動内容、課題などについて報告を行いました。具体的には、共通技術課題への対応、規制当局との対話の状況、コミュニケーション/活動状況の公開、海外原子力関係組織との連携に関して、2019年度の活動内容を説明いたしました。また、今後の課題として、①産業界自主対策の取り組み、②NRAとのコミュニケーションの更なる促進 の2点を掲げ、今後の活動に活かしていく旨の報告をいたしました。

(20分55秒)

4.基調講演(マリア・コーズニック 米国原子力エネルギー協会(NEI)会長)

米国原子力エネルギー協会(NEI)のマリア・コーズニック会長より、将来の脱炭素化に向けた米国原子力産業界の取り組みについて講演をいただき、既存の原子力発電所の有効活用に伴う長期運転対応、新設計の原子炉の開発に関するNEIと米国規制当局(NRC)の関係構築などについて、詳細な説明がありました。
また、ATENAが成長し、原子力産業界内の連携、規制当局との連携を強化していく中で、NEIは喜んでATENAを支援し、NEIが持つ知見を共有していくとのメッセージをいただきました。
また、福島第一原子力発電所事故以降、米国と日本の事業者の原子力部門の最高責任者(CNO)の相互訪問が始まり、米国の新任CNOは必ず福島第一原子力発電所を訪問して、原子力事業の責任者としての認識を高めているとの紹介がありました。また、その交流の中で、現在、日本の原子力発電所運転員に新しい訓練機会を作ること(米国で稼働しているプラントに派遣し、運転プラントを実際に体験させる訓練)について議論されている旨の紹介がありました。

(23分29秒)

5.パネルディスカッション

テーマ:
原子力の有効利用に向けた安全上の課題とATENAの役割
モデレータ:
遠藤 典子 慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科 特任教授
パネリスト:
加藤 顕彦 (一社)日本電機工業会 原子力政策委員会 委員長
倉田 千代治 電気事業連合会 原子力開発対策委員会 委員長
マリア・コーズニック 米国原子力エネルギー協会(NEI)会長
山口 彰 東京大学 大学院工学系研究科原子力専攻 教授
山﨑 広美 (一社)原子力安全推進協会 理事長
玉川 宏一 ATENA 理事

遠藤特任教授による進行のもと、「原子力の有効利用に向けた安全上の課題とATENAの役割」と題し、その中で「規制と産業界の対話」、「産業界の連携」という2つのディスカッションポイントに絞り、パネルディスカッションが行われました。
冒頭、東大山口教授より、本テーマを俯瞰したプレゼンテーションがあり、「原子力にはリスクがあり、安全の確保が必要であることと、原子力には価値があり、適切な利用が必要だということの2つを同時にあわせたものが安全の目的である」とのコメントがありました。
また、原子力の必要性を掘り起こしていくこと、また、原子力の価値をアピールしていくことがATENAの役割であるとの認識が山口教授から示されたのち、2つのディスカッションポイントについて、それぞれディスカッションが行われました。
1つ目のポイント「規制と産業界の対話」では、マリア・コーズニック会長より、「何か問題があったときに、ATENAが産業界の声を代表することによって、規制当局との対話がより効果的に実施できるということを示すということで、ATENAと規制当局との間で信頼が構築される。NEIが規制との対応でいつも意識しているのは、何をしなければならないか、Whatの部分は規制で決めてもらえればよく、それをどう実現するかHowの部分は、産業界のクリエイティビティ、知識を使って産業界が考えるべきだということである。」とのコメントがありました。
2つ目のポイント「産業界の連携」については、最初に3名のパネリストからプレゼンテーションがありました。加藤委員長からはメーカの取り組み、特に各技術テーマに応じた専門家をATENAのワーキンググループに派遣し、事業者・メーカが一緒になって議論し、更なる安全性向上に向けた取り組みを推進していることについて紹介がありました。
また、倉田委員長からは、原子力事業者の取り組み、特にATENAの活動に事業者としても積極的に参画するとともに、ATENAが要求する安全対策は確実に実施していくとのコメントがありました。さらに、山﨑理事長からはJANSIの取り組み、特にATENAが発足したことにより自主規制組織としてのJANSIの役割は明確になり、その上でATENAとは緊密に連携していくと述べられました。
その後、マリア・コーズニック会長より、「NEIはATENAのパートナーでありたいと思っており、NEIの経験は喜んで共有したい。また、日本からも学びたい」とのコメントがありました。
さらに、山口教授からは、「日本の産業界は、まだ『何をやるべきか』しか見ていない。日本が米国と同じレベルの取り組みを進めるためには、産業界として『どう実施すべきか』をもっと議論していく必要がある。これのリーダーシップをとっていくのはATENAである。」とのコメントがありました。
また、玉川理事からは、「ディスカッションを通じて、ATENAへの期待がひしひしと感じられ、その期待に応えていく必要がある。自ら提案して規制を変えていく、あるいは事業者の取り組みを変えていくといったことに先進的に取り組んでいく。」とコメントしました。
最後に、モデレータの遠藤特任教授より、「原子力は、気候変動対策の有力なツールであると同時に、日本経済の中でもコアコンピタンスであるということをもう一度認識して、メーカ、事業者をはじめとする業界全体が連携していかなくてはいけない。日本の社会の中で、とりわけエネルギー産業の中で、どのように原子力を活かしていくのか、それが日本経済の成長につながっていくのかをもう一度確認していく必要がある。」との言葉があり、パネルディスカッションは締めくくられました。

(44分05秒)

6.閉会挨拶(玉川 宏一 ATENA理事)

最後に、「ATENAフォーラム2020」閉会にあたり、玉川理事より挨拶をいたしました。

(2分28秒)

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